漆黒の空間には網目のように線が走り、部屋の形を形成していた。その部屋の中央には地球
儀にリングをつけたような巨大な物体があった。そしてその部屋には二体のデジモン。一体は
濃紺のスーツに身を包んだ青白い肌のデジモン、もう一体は鈍重そうな鎧に身を包んだ銀の
デジモン。ヴァンデモンとナイトモンだ。

「だから!私が出るといっているのだ!」

ナイトモンは声を荒げて言う。大してヴァンデモンはナイトモンに背を向けたまま、何事もなかっ
たようにノートパソコンのような機械のキーボードを叩いている。その機械はコードで巨大な物
体…『イグドラシル』と繋がっていた。

「いつも言っているでしょう。いつ『イグドラシル』が我々に『刺客』を送ってくるかわからない。だ
から…」

「『我々の中で一番強い貴方が残っていなくてはならない』か?」

ナイトモンはヴァンデモンのいつものセリフを言う。

「ええ。『未来』の『イグドラシル』は過去の自分に起こった異常を感知しています。だからこちら
に奴を送り込んできたように、我々を始末する為の刺客がいつきてもおかしくありません」

「フン…まだ見ぬ刺客を恐れて自分の身を警戒するのもいいがな…」

ナイトモンはそう言って近くにあった箱を持ち上げる。中には幾つ物の手紙が入っていた。

「『奴』を野放しにしておく事の方が危険なんじゃないのかっ!」

ナイトモンは箱をヴァンデモンに投げつける。ダンボール箱はヴァンデモンの頭に命中し、中に
入っていた手紙が辺りに散乱する。手紙の差出人は彼らが雇ったチンピラまがいの者達か
ら。手紙の内容は『奴』の始末に失敗した事を報告する物ばかりだった。

「この件は全てのデジモン達の生存にかかわる重大な戦い…それを最初からあのようなチン
ピラまがいの連中に任せるのが間違いだったのだ!」

ヴァンデモンは表情一つ変えず、床に散乱した手紙の中から一枚を拾い上げる。それはもっと
も新しい日付の物だった。

「『ナノモンにターゲットの情報を売ってナノモンにターゲットを始末させようとするがターゲットは
完全体に進化しナノモンを撃破。ターゲットが進化したのは見たこともない完全体。マメモン系
統の物と思われるが、恐竜系の特質も備えている模様』」

ヴァンデモンは手紙の内容を要約して読み上げる。

「『引き続きターゲットの始末を試みる』…とメカノリモンと同時行動中のザッソーモンからの報
告です。彼らの次の定時報告が届いてからでも良いでしょう。貴方の出撃を検討するのは」

ザッソーモンとメカノリモン。彼らが雇ったチンピラまがいの連中は『奴』…X抗体を持つモノクロ
モンに叶わないと見るや報告もせずに行方をくらましていき、この二人だけが最後に残った。し
かしナイトモンはこの二人が行方をくらますのも時間の問題だと思い、その場は引く事にした。

「おや、何処へ行くのです?」

壁の方に向かって歩き出したナイトモンを見てヴァンデモンは言う。

「外で食事を取りに行く」

「そうですか」

ヴァンデモンはそれだけ言うと再び機械に向かい、キーボードを叩き始める。

「よくもまあ、こんな所に何日も閉じこもっていられるな…」

壁の一部が自動ドアの用にスライドし、ナイトモンはその奥に続く通路を歩いていった。


第16章 剣と知と闇と―dgimon of chivaly―


ナイトモンが店の扉をくぐると、揚げ物の香ばしい匂いやソースの香りが押し寄せてきた。店内
は多くの客で賑わっていた。空いている席を探し、腰を下ろすとウェイトレスがナイトモンの足
元に駆け寄ってきた。ウェイトレスの身長はナイトモンの膝上くらいまでしかなく、ふっくらとした
大きな耳と、ちょこんと生えた小さな角が特徴だった。ウェイトレスはテリアモンと言う種類のデ
ジモンだった。

「チーズハンバーグセットを一つ。それと…」

「アイスコーヒーですね!」

テリアモンに注文を言い当てられたナイトモンは目を丸くする。

「やだなぁ、もう3週間以上もかよい続けてくれているじゃないですか。顔を見れば常連さんが
何を欲しがっているかくらい良く分かりますよ」

ナイトモンがこの町に滞在してから既に一ヶ月以上立っている。ナイトモンはその間食事をとる
時は町中の定職屋を点々としていたが、3週間ほど前、この店のチーズハンバーグの味や雰
囲気が気に入り、それ以来昼食はこの店で取っていた。

「顔を見るだけで注文が分かるとは凄いな…」

「あったりまえですよ!ウチの料理を気に入ってウチにかよい続けていてくれるなんてとても嬉
しいじゃないですか!顔を忘れたらバチが当たりますよ!」

元気に答えるテリアモンを見てナイトモンは微笑む。

「では、オーダーはチーズハンバーグセットとアイスコーヒーでよろしいですね?」

「ああ、頼む」

「かしこまりましたー!」

テリアモンはおじぎをするとカウンターに向かって走っていった。

「よい店だな、ここは」

ナイトモンは呟く。彼は、この世界を愛していた。彼は幼い頃から戦いに明け暮れていた。それ
はデジモンと言う戦闘種族の本能が彼を生きる為に戦わせていた。ある時、彼は傷つき倒れ
ていた時、あるデジモンの集落に助けられた。その時、初めて彼は他者を傷つけずに生きる
方法をしった。助け合い生きると言う事を。彼がこの世界、デジタルワールドを愛すようになっ
たのはそれからだ。戦闘種族として生まれながらも、他者と共存して生きる道を見出したデジタ
ルモンスターが住むこの世界を。

「守らねばならんのだ…この世界を」

ナイトモン誰にも聞こえないように呟く。彼はこの世界を愛しているからこそ、全てのデジモンを
消去しようとした『神』イグドラシルが許せなかった。その世界に住む住人を全て消すと言う事
は、その世界を消すも同然とナイトモンは考えていた。

「X抗体を内包する者…必ずこの手で…」

「アハハハハッ!やっぱアンタもそう思ぅ!?」

ナイトモンが一人決意を新にしていると、かん高い声が店内に響きわたった。ナイトモンが振り
向くと店の奥のテーブルに座ってふんぞり返って馬鹿笑いしているデジモンが一人。ヴァンデモ
ンと同じく、イグドラシルの発見者であるベーダモンだ。

「それでさぁ、アタシの研究のポイントは…」

ベーダモンは自分が過去にやった研究の自慢を延々と続ける。話につき合わされている数人
のデジモン達はうんざりとした顔で相槌を打っている。彼は自分の事を自慢するのが大好きで
あった。あの調子では誰かが強引に止めない限り自慢話は延々と続くだろう。

「今日は来ないなと思っていれば…」

旅の途中でこの町に寄り、イグドラシルの存在を知ってヴァンデモンの計画に手を貸したナイト
モンは宿代節約の為、夜はイグドラシルの所で寝泊りしている。しかし元々この町出身のベー
ダモンは夜は自宅に帰り、朝になったらイグドラシルの所にいってヴァンデモンと共にイグドラ
シルのデータ解析を続けていた。しかし今日に限って朝になっても姿を見せないので不振に思
っていた矢先の事だった。

「お待たせしましたー!」

その時、テリアモンがナイトモンの座っているテーブルに熱々のチーズハンバーグとパン、サラ
ダ、スープ、アイスコーヒーを運んできた。

「熱い内に召し上がってくださいね!」

そう言ってテリアモンは次のテーブルに向かおうとする。彼女の手には料理の載ったトレイがあ
った。

「すまないが一つ聞きたい事があるんだが…」

ナイトモンはテリアモンに小声で耳打ちする。

「なんですか?」

「あの客、いつ頃からいるんだ?」

ナイトモンはベーダモンを指差して言う。

「あのお客さん、朝からずっとあの調子ですよ」

テリアモンは苦笑いしながら言った。

「わかった。手間を取らせてすまなかったな」

「いえいえ、どういたしまして」

テリアモンはおじぎした後料理を届けるべく別なテーブルに向かう。

「まったく、ベーダモンめ…」

ナイトモンは呟く。ベーダモンは栄冠や名声といった言葉が大好きで、彼が学者になったのも
名誉ほしさからなのだろう。イグドラシルによる全デジモンの消去を防ぐ計画に参加したのも救
世主としての賞賛をあびたいからに違いないだろうとナイトモンは考えていた。自分が他人から
賞賛をあびたいが為に行動する。そんなベーダモンの事をナイトモンは快く思ってはいなかっ
た。

「それにしても…あの店主は私が来る時間帯を読んでいたと言うのか?」

ナイトモンは自分の前に並べられた料理を見て呟く。彼がこの店に来る時間帯は確かに昼時
が多いが、2時や3時を回る頃に来る事も少なくない。しかし、テーブルの上のチーズハンバー
グは焼き立てとしか思えない状態だ。ナイトモンはカウンターの向こう側で客と世間話をしなが
ら料理を作っている太った獣人型デジモン、ガルゴモンに目を向ける。すると客に料理を出す
ために振り返ったガルゴモンと目が合った。ガルゴモンは「ニヤリ」としか形容できない表情を
すると、また客と世間話をしながら料理を作り始めた。

ナイトモンはため息をつくと、熱い内に料理を食べる為にナイフに手をかけた。その時だった。
店のドアを突き破って、大男のようなデジモンが入ってきたのは。

「!」

昼食時の暖かい空気が一瞬にして壊され、店内にいた者達全員の動きが止まる。唯一の例
外である店内に入り込んできた大男が近くにいたテリアモンの頭をわし掴みにした時、最初に
動いたのはガルゴモンだった。

「テリアモン!」

「おやっさん!!」

カウンターからガルゴモンが身を乗り出すと、大男が荒々しい声で叫んだ。

「全員動くんじゃねぇ!このガキがどうなってもいいのか!?」

上半身裸で鋼鉄の仮面を被り、極太の鎖を体に巻いた大男、デスメラモンは鷲づかみにした
テリアモンを掲げて叫ぶ。

「くっ!」

ガルゴモンがその場で立ち止まる。いつの間にか店の外には野次馬とそれを静止するデジモ
ンが数匹。この町の自警団だろう。そしてこの店に立てこもったデスメラモンは当然、人間の世
界で言う所の「犯罪者」だ。

助け合い、集落ができ、それが大きくなって行くその過程で生まれたのが「犯罪者」と「自警団」
と言える存在だった。集落が大きくなればなるほど犯罪者は増えていき、大陸一の大きさを誇
るこの町もその大きさに比例するように犯罪が多く、自警団が手を妬く事がしばしあった。

「オラァ!どきやがれ!」

デスメラモンは店の奥のテーブル付近に座っていた客達に向かって鎖を振り回す。客達は蜘
蛛の子を散らす様に逃げていき、その中にはベーダモンの姿もあった。

「いいか、手をだすんじゃねぇぞ!このガキがどうなってもしらねぇからな!」

デスメラモンは奥のテーブルに腰を下ろすと、これ見よがしにテリアモンを高く掲げる。ガルゴ
モンがデスメラモンを睨む。

「ん?おい!お前!てめぇの持っている得物を俺にわたしな!」

デスメラモンは大剣を背負っているナイトモンに気付くと、ナイトモンを指差して叫ぶ。ナイトモン
は無言で立ち上がる。

「よーし、床にてめぇの得物を置いてもらおうか…。そんでもってそこから離れて貰おうか」

「…」

ナイトモンは何も言わずに二本の長剣と、巨大な大剣、「ベルセルクソード」を床に置き、壁際
まで後ずさる。

「そう、それでいいんだ。そこから動くなよ…」

デスメラモンはゆっくりと床に置かれた三本の剣に歩み寄る。彼の左手に捕まえられたテリア
モンと、店内の客達と、店外の野次馬達が息を飲んでその光景を見守る。

「ふん、デクの坊のくせにご立派な剣を持っていやがる…」

デスメラモンは足元に転がるベルセルクソードに手を伸ばす。デスメラモンは柄の部分を握り、
持ち上げようとする。

「お?」

しかし、ベルセルクソードはピクリとも動かなかった。デスメラモンは必死で腕を引っ張り上げる
が、ベルセルクソードは持ち上がるどころかピクリとも動かない。

「何だこの剣は!?床に張り付いてでもいやが…ガァッ!?」

デスメラモンは左腕に激痛を感じて思わず顔を上げる。すると自分の左手首をナイトモンが握
り締めていた。ベルセルクソードの重さに気を取られている一瞬の内に近づいたのだ。

「ガァァァァァ!?」

ナイトモンはさらに強くデスメラモンの手を握り締め、デスメラモンは激痛のあまりテリアモンを
手放す。ナイトモンは左手でキャッチすると、優しく床におろした。ナイトモンはデスメラモンの手
を握り緊めたまままったく姿勢を変えていない。

「早く逃げろ」

「あ、ありがとうございます!」

テリアモンは例を言いながら離れる。それをガルゴモンが抱きしめた。

「て、てめぇ!」

突如、デスメラモンの上半身が青白い炎に包まれる。デスメラモンは炎に包まれた鎖をナイト
モンの顔面に振り下ろす。

「…」

ナイトモンはデスメラモンから手を離し、紙一重で鎖をかわす。

「剣のないナイトモン種なんぞ、へのつっぱりにもならねぇぜ!」

デスメラモンは青白い炎に包まれた拳を振り上げ、ナイトモンに殴りかかる。

「危ない!」

「殴れるもんなら殴ってみな!焼けどじゃすまねぇがな!」

しかしナイトモンは拳の甲でデスメラモンの拳を受け流し、デスメラモンの顔面に拳を叩きこ
む。

「グェブ!?」

すぐさまナイトモンはデスメラモンの背後に回り、店の外に向かって殴り飛ばす。

「ガハァッ!?」

デスメラモンは自分が壊した扉から飛び出し、大通りの地面に叩き付けられる。野次馬が蜘蛛
の子を散らすように逃げ出し、自警団がデスメラモンに駆け寄る。

「ザ・デュエル。炎を身にまとおうが、炎に触れる時間が短ければいいことだ」

しかしその時、デスメラモンが勢いよく立ち上がった。

「やめあやがってぇぇぇぇっ!」

デスメラモンは炎に包まれた鎖を振り回し、自分に近づいた自警団を追い払った。そして彼の
体を包む青白い炎が激しく燃え始める。

「そのチンケな店ごと燃やし尽くしてやる!ヘビーメタルファイヤー!」

デスメラモンの口から青白い炎に包まれた何かが吐き出される。それは超高温の熱で解けて
液体化した金属だった。店内にいた客達が戦慄き、いっせいに店の奥の方、裏口に殺到す
る。

「お客さん!危ないよ!逃げて!」

ただ一人だけ、立ち止まって微動だにしないナイトモンにテリアモンが声をかける。

「大丈夫だ…何も心配する事はない」

ナイトモンは振り向きもせずに言った。聞くものを落ち着かせるような、優しい声だった。

「え?」

ナイトモンは足元にあるベルセルクソードを掴み、片手で高々と持ち上げる。そして一足飛びで
店の外に飛び出す。超重量級の剣を持ち、思い鎧を身にまとった巨躯からは想像できない動
きだった。

そして眼前に迫る金属に固まりに向かって――――

「ベルセルクソードッ!!」

振り下ろした。

溶解した金属の塊は綺麗に二つに分かれ、ナイトモンの両脇に落下した。それと同時にナイト
モンも着地する。ベルセルクソードにはゆがみや溶解したあとは一つもなかった。

「ヒ…」

ナイトモンに睨みつけられたデスメラモンの戦意の喪失を表すように、その体を包む炎が消え
ていった。デスメラモンは逃げ出そうとナイトモンに背を向ける。すると、逃げ送れた野次馬の
一人と目が合った。その野次馬は小さな両生類のような姿をしたベタモンと言う種族…成長期
だった。

「ラアァァッ!」

デスメラモンはベタモンに向かって鎖を延ばす。

「しまった!!」

慌ててナイトモンがデスメラモンに向かって駆け出す。

「ハハハ、これで形成ぎゃくて…」

「ブラッディストリームッ!」

その時、血の様に赤い閃光の鞭がデスメラモンの首に巻きついた…。

「ガ…ア、ア…」

閃光の鞭はデスメラモンの首を締めつけていく。鎖は力を失い、地面に落ちる。デスメラモンの
首から、チリチリと言う音がしていることから、閃光の鞭には灼熱とまでは行かなくても、熱をも
っている事が分かる。首を熱した鞭で縛られているのだからその苦しみは相当な物だろうが、
首を締められている為に悲鳴もあげられない。

不意に鞭がしなり、デスメラモンの体が上空で跳ね上げられる。その体が頂点まで跳ね上がっ
た時、辺りにゴキ、と嫌な音が響いた。首の骨が折れたのだ。完全体だからこの程度で即死と
は行かないが、戦闘不能に追い込むのならばさっきの首締めだけでも十分過ぎるほどだっ
た。

そしてデスメラモンは顔面から落ちていく。自らが放った、超高温の溶解金属の中に。

「ギャアアアアアア―――――ッ!!」

耳を引き裂かんばかりの悲鳴はやがて、止んだ。

「た、担架だ!早く担架を!」

一瞬の静寂の後、自警団員達が慌ててデスメラモンを運び出す。その頃、ナイトモンは路地の
奥にヴァンデモンがいる事に気付いた。

「ヴァンデモン…」

ヴァンデモンはまるで汚い物を見るような目で見ていた。自らが重傷を負わせたデスメラモン
も、それを担架で運ぶ自警団員も、自分が助けたベタモンも、野次馬達も、そしてナイトモン
も。ナイトモンはいつも彼が何を考えているのか分からなかったが、今、ヴァンデモンが始めて
自分の感情をその目に表したような気がした。

「おい、ヴァンデモン…」

ヴァンデモンはそのまま路地の奥に姿を消した。追いかける気にはならなかった。

「あら、ナイトモンいたの?」

後ろから声をかけられて振り向くと、そこにはベーダモンがいた。

「まさかとは思うが…気付いていなかったのか…?」

あっけに取られたような顔でナイトモンが言うと、ベーダモンは
さも当然と言った顔で、

「アタシはずっと頭抱えて蹲っていたわよ!気付くわけないじゃない!」

と答えた。

「それじゃ、アタシはイグドラシルの所へいってるわね」

そう言ってベーダモンはその場から去って行った。たいした相手と戦っていたわけでもないの
に、ナイトモンの体にどっと疲れが押し寄せた。

「あの…ナイトモンさん!」

今度はテリアモンが駆け寄ってきた。興奮しているのか、顔が赤い。

「ありがとうございました!とってもかっこよかったですよ!」

「かっこよかった、か。私はまだまだ修行中の身だがな…」

「そんなことないですよ!その強さなら、この町の自警団に入ったらすぐに隊長になれます
よ!」

「自警団、か」

イグドラシルの一軒が終ったら自分を磨く為の旅を止めてここに落ち着くのもいいかもしれな
い、とナイトモンは思った。この町は大きい分、犯罪が多い。自分のような者が必要なのかもし
れない、このハーディックシティには。


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